白馬岳(2,932m)

2017年8月27日〜29日

公共交通機関を利用する場合、東京23区から白馬駅まで中央線・大糸線を利用すると早くても11:27になってしまう。しかし、北陸新幹線で長野駅まで行き、特急バスの長野白馬線を利用すると白馬駅には9時半に着き、アルピコバスの白馬猿倉線に乗り換えると猿倉には10:07に着くことができる。大雪渓を経て、その日のうちに白馬岳山頂に立つことが出来るのである。

村営 猿倉荘

大雪渓を行列して登るのはいやなので、お盆明けの晴れ間を狙って白馬岳に登ってきた。猿倉線は8月は27日の日曜日が最終で、それ以降は10月上旬まで土日のみの運航となる。

日曜日だからなのだろう長野白馬線のバスの乗客は多く、1台では乗り切れなかったので2台目を出すということになったようだ。しかし、白馬駅で降りた乗客は2人だけで、あとの乗客は八方尾根か栂池が目的だったのだろう。

猿倉に着くと白馬岳から下りてきた登山者が帰りのバスを待っていた。今日は白馬岳の山頂は雲で見えない。

白馬尻小屋

大雪渓ケルン

白馬雪渓のケルンから10分くらいのところからアイゼンをつけて大雪渓に上がる。最盛期はアリの行列のように登山者が続いているのだろうが、この時期になると潮が引いたように登山客はとても少なくなるので登山をゆったりと楽しむことができる。下りてくる人とはあったが、登る人ははるか上にぽつんと見えるくらいだった。

雪渓に取り付いて5分も経たないうちに雪渓いっぱいにクレバスが広がっていた。一度アイゼンを外し、左の高巻きを上がることになる。アイゼンは6本爪の軽アイゼンである。

雪渓いっぱいに広がったクレバス

再度雪渓に降りて、アイゼンをつけ直して登り出す。時折ガスってホワイトアウトする中をアイゼンの雪を踏む音を聞きながら、上にだけに意識を持って登っていく。

左斜面の杓子岳からはガラガラと不気味な落石の音が時折聞こえてくる。気が許せない。

雪渓に取り付いてから1時間ぐらいだろうか、アイゼンを外し雪渓から右斜面の巻道を葱平方向に上がっていく。不安定に石が重なっているので、石を落とさないように注意して登る。ジグザクに斜面を高巻き、高度を上げていく。食事をとっている時間と場所がなく、機会を失ったままだったので「しゃりバテ」でフラフラになってしまった。「葱平までは座るな」「白馬尻までは座るな」という標識が目につく。

足場が危ういところには足場板が設置されていた

大赤石

上部の小雪渓はすでなくなってしまっていた。それでも、今年は結構遅くまで雪が残っていたようだ。

避難小屋

避難小屋からは杓子岳の岩峰(天狗菱)が雄壮に聳え立っているのが見える。

杓子岳の天狗菱

避難小屋を過ぎると辺りは比較的なだらかな地帯に入り、先には杓子岳と白馬岳を結ぶ吊尾根のような稜線が見えてくる。林野庁の国有林の立派な看板が真ん中に鎮座している。まだ高山植物も結構咲いていた。

国有林の看板

枕木の頑丈な階段状の木道は急登で、喘ぎながら抜けていくと白馬岳頂上宿舎の白い建物が見えてきた。

枕木が設置された急登

白馬岳頂上宿舎が見える
村営白馬岳頂上宿舎

今日の泊まりは頂上宿舎と白馬山荘とどちらにしようかと思っていたが、ロケーションはやはのこの上の白馬荘の方が良さそうなので、先を行くことにした。

杓子岳と白馬鎗が岳
上から見た村営白馬岳頂上宿舎
頂上宿舎から望む白馬山荘

稜線に上がると10分足らずで白馬荘に到着。受付を済ます。今日宿泊する登山客は山小屋の規模からするととても少ないようだった。ほぼ2号館だけで捌けてしまう人数だったようで、1号館は相部屋の1室に8人程度の宿泊者だけだったようだ。相部屋の方が人口密度が低そうだった。

白馬山荘宿泊受付
白馬山荘 スカイブラザ(レストラン)

白馬山荘相部屋

白馬山荘1号館トイレ
1号館洗面所

指定された夕飯の時間までは間があったので、レストランの「スカイプラザ」で生ビールを飲んでから外で景色を見ながら過ごした。

スカイプラザの生ビールは800円だったか。

白馬山荘から見る白馬頂上宿舎
白馬山荘 夕食
2号館自炊場

旭岳に沈む太陽

正面には剱岳や立山がきれいに眺められた。8月中で晴天が見込まれた日を狙っての山行だったが、本当に狙い通りの天気になってくれた。

剱岳立山遠望

翌朝は5時から食事が用意できるということで、5時20分ごろに食堂に並んだ。

白馬山荘 朝食

食事を済ませ、荷物を整理して5時50分に頂上に向けて出発した。

山荘から見た白馬岳山頂(この写真は前日夕方のもの)

白馬山荘から白馬岳頂上までは20分くらいで到着。雲が多くなってきたものの、富山湾、剱岳や北アルプス南部の山々や八ヶ岳、遠くに富士山の頭も見えた。

白馬岳山頂

三国境

三国境は越後(新潟)、信濃(長野)、越中(富山)の三国(県)の境になるようだ。

三国境、小蓮華山、白馬大池までは快適な稜線歩きが続く。

双耳峰の鹿島槍の奥に槍ヶ岳が見えた
白馬大池

コマクサ
白馬大池山荘
チングルマの綿毛

白馬大池の周りにはたくさんの高山植物が群生していた。なかでもチングルマが一面に広がっていた。しかし、その多くはすでに綿毛になっていたが、雪解けが遅れた所だろうか今が花盛りになっていた所もあった。

チングルマの花
白馬大池のテン場

白馬乗鞍への道は大石がゴロゴロしたところを登るので結構疲れる。白馬大池から天狗原にかけての道は歩きにくいところが多く、思っていたより体力の消耗が激しい。少なくとも登りでは使いたくないコースだ。

白馬乗鞍岳山頂

途中、20〜30mくらい小雪渓を横断する。

この辺りから空気が生ぬるくなった感じで、下界の空気に入れ替わったようだ。

天狗原

銀嶺水

梢から唐松岳、不帰ノ劍や天狗の頭などの山々が見えた。

栂池自然園

栂池自然園に到着、登山終了である。ここからロープウェイとゴンドラを乗り継ぐパノラマウェイで1,100mを一気に下界の栂池高原まで連れて行ってくれる。

ロープウェイ駅

リフト駅 イブ

栂池高原では長野駅行きのバスの出発まで時間があったので、信州そばを食べ、温泉で汗を流すことが出来た。パノラマウェイの半券かモンベルの会員券を見せると割引を受けられる。

栂の湯

バス停

もう今年の夏山もこれで終わりか。


コースDATA

1日目 長野駅 特急バス長野白馬線8:20 白馬駅9:30   9:40 猿倉バス停10:07 猿倉荘10:10 白馬尻小屋11:10 大雪渓ケルン11:30 大雪渓取付11:40 右斜面13:05 葱平 避難小屋14:40 林野庁看板15:10白馬頂上宿舎15:45 白馬山荘16:10

2日目 白馬山荘5:50 白馬岳頂上6:10 三国境6:40 小蓮華山7:15 白馬大池8:30 白馬乗鞍岳9:10  天狗原9:55 銀嶺水10:25 栂池自然園駅10:50 =栂池ロープウェイ= 栂大門駅 栂池高原駅 =栂池ゴンドラリフト(イブ)= 白樺駅(中間駅) 栂の森駅 栂池高原バス停11:45 長野駅


北アルプス 白馬岳 2017年8月27日〜28日

S47年卒 手島

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