年末年始の山岳遭難事故2020

2019年年末から2020年年始の山岳遭難事故を報道されている記事から拾ってみました。

西穂高岳

・12月30日 西穂高岳山頂付近で道迷いで山小屋に連絡があり、31日朝から岐阜県警の山岳警備隊が捜索を開始、1日午前9時前に県警のヘリコプターが西穂高岳の山頂から南西に約300mの地点で遺体で発見された。

槍ケ岳

・12月31日 岐阜県側の飛騨沢で男女6人のパーティのうち3人が滑落する。岐阜県警のヘリが滑落した3人のうち負傷した2人を救助、いずれも軽傷の模様。残る1人は他のメンバーと自力下山。

八方尾根

・1月2日 八方尾根北側の斜面で雪崩が発生。山スキーをしていた3人のうち20代の男性が巻き込まれ、意識不明の重体。

伊那前岳

・12月30日 伊那前岳で2人パーティーで登山中の20代男性が稜線付近から約300m滑落、救助されるも翌日死亡。

宝剣岳

・12月30日 宝剣岳で30代女性が滑落し、右足の骨を折るなどの重傷を負う。

北岳

・12月31日 山頂付近で男性が滑落。2800m付近の沢で発見されたものの搬送先の病院で死亡が確認された。

甲斐駒ケ岳

・1月2日 山頂付近で、救助活動を行っていたヘリが長野県側の沢に30代男性が倒れているのを発見収容されたが、病院で死亡が確認。

小赤石岳

・1月2日 小赤石岳の登山道付近で40代男性が滑落し、胸の骨を折る大けがを負う。

雁坂峠

・1月1日 雁坂峠近くの登山道で男性が滑落したと同行の登山者が山小屋に救助を求め、救助に向かった別の男性も同じ場所で滑落し2人とも死亡が確認された。

富士山

・1月1日 8合目付近で30代男性が滑落。県警のヘリが6合目付近の沢で発見したが、死亡が確認された。

・上記事故を通報した40代男性もその後滑落し、8合目の下山道付近で発見され翌2日に救助される。左足などを負傷するも命に別状なし。

・1月2日 警察のヘリコプターが6合目付近で男性を発見、救助するも心肺停止の状態。

八ケ岳

・12月30日 赤岳の地蔵尾根で30代女性が滑落し、右ひじの骨を折る重傷を負う。

・1月3日 八ケ岳連峰の標高2000m余りの登山道脇で倒れている人を登山者が発見。ヘリコプターで搬送されるも死亡が確認。死因は低体温症と思われる。

 

アクセス数ランキング2019

今年のOB会ホームページの記事別アクセス数ランキングを調べてみました。

(数字はアクセス数)

1  「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか」 323

2  八甲田山雪中行軍遭難事故 205

3  更新内容 146

4  山で歌った歌 「北帰行」 102

5  山で歌った歌 「新人哀歌」 100

6  山で歌った歌 「山賊の歌」 91

7 御嶽山噴火 生還者の証言から」 89

8  積丹岳事故裁判について 85

9  山で歌った歌 「谷川小唄」78

10   栃木県茶臼岳(那須岳)での雪崩遭難事故について    77

11  山で歌った歌 「校歌」70

12  山で歌った歌 「 剣ダンチョネ節」51

13   年度別会員名簿 49

という具合でした。外部の検索サイトから事件事故を調べる中でヒットしてアクセスにつながったケースも多かったようです。また、「山で歌った歌」の記事が上位を占めていたのは意外でした。


歌別のランキングを見ると次のようになっていました。

1  北帰行 102

2  新人哀歌 100

3  山賊の歌 91

4  谷川小唄 78

5 校歌 70

6  剣ダンチョネ節 51


「行ってきました」の山行別のアクセスランキングは次のようになっていました。

1  芳ヶ原湿地群

2  岩殿山

3  雁ヶ腹摺山

4  雲竜渓谷

5  日光男体山

メールマガジン12月号 /2019

獨協中学・高等学校ワンダーフォーゲル部OB会メールマガジン 2019/12/27

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DWVのOBを山の話題で結ぶメールマガジン12月号の配信です。

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△▲△▲△        も くじ  △▲△▲△

【1】西穂高で滑落死が続く

【2】マダニの感染症死者が100人超え

【3】屋久島でトロッコを使って救助搬送

【4】御嶽山の御嶽教

【5】スイスの救助犬トレーニング

【6】唐松沢が氷河に認定される

【7】行ってきました 山行Now

【8】編集後記

【9】記事の募集とマガジンについて

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【1】西穂高で滑落死が続く

11月3日午前10時ごろ北アルプス西穂高を娘さんと二人で登っていた福岡市在住の66才男性が西穂高から下山中のピラミッドピーク付近で滑落しました。娘さんの通報を受けて県警のヘリコプターや山岳救助隊が捜索し、約2時間半後に500mほど下の岩場で発見されましたが、その場で死亡が確認されました。

また、15日午前中には大阪府在住の39才男性が男女4人のパーティーで前日に岐阜県側から入って15日に西穂高岳を登頂し下山する予定でしたが、独標(標高2701メートル)付近で滑落しました。一緒に登っていた仲間から「滑落した」と救助要請があり、県警のヘリコプターが出動し午後2時ごろ100メートルほど下の岩場で発見救助されました。しかし、既に心肺停止の状態で搬送先の松本市内の病院で死亡が確認されました。

西穂高の独標からピラミッドピーク付近は無雪期でも滑落事故が多く、今回の事故は下山中の事故だったようです。雪は積もっていなかったということですが、風は強かったということで風に振られてバランスを崩したのかもしれません。ご冥福をお祈りします。

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【2】マダニの感染症死者が100人超え

国立感染症研究所は17日マダニが媒介する致死率の高い感染症である「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)の今年の感染報告者数が初めて100人を超えたと発表しました。(うち4人が死亡)

SFTSはウイルスを持ったダニにかまれると6日~2週間で発症し、発熱や倦怠感、筋肉、発疹、関節痛、腹痛、下痢ななどの症状が出ます。有効なワクチンや薬がなく、重症化すると死に至ることもあるということです。

2009年に中国で発症が確認されたのを初めとして、東京での1例を除いて九州、四国や関西北陸など西日本を中心に発症が報告されています。患者総数492人の約14%に当たる69人が死亡しています。猫などの発症したペットからの感染も報告されています。

近年シカやイノシシなどが増えてきていることもあり、ダニやヒルが多くなってきているようです。増草むらなどに入る機会が多い場合は袖口を絞れる長袖や長ズボンを着用するとか防虫スプレーをかけておくなど注意が必要なようです。

また、服などに入っても直ぐにはかまないのでよく確認し、かまれた場合は無理に引き抜くとマダニの口の一部が皮膚内に残る可能性があるため、ダニが付いていたらといって慌てて払ったりすると大変なことになります。冷静な対応が必要です。皮膚科で取ってもらうのがいいと言われますが、受診するまでダニを付けたままでいるということは物理的にも精神的にも現実的ではありません。虫を口を中心に回すようにすると上手く抜くことが出来るということですが、ピンセットでもなければ難しいと思われます。やはり、防虫スプレーか防虫テープでの予防が現実的のようです。Amazonでは「Tick Twister」というプラスチックの小さな釘抜のような専用ダニ取り器が販売されています。値段も安いので非常用バックに加えておくのもいいかもしれません。

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【3】屋久島でトロッコを使って救助搬送

世界自然遺産の屋久島では屋久杉の搬出のため約7キロに渡り登山道に沿ってトロッコの線路が敷設されています。主に森林管理署が国有林の保全業務などに利用しているだけでしたが、この度そのトロッコを救助者の搬送に活用することが出来るようになりました。トロッコの運転には免許が必要なので県警屋久島署員2人が「森林軌道運転職員認定証」を取得し、要救助者を迅速に搬出できるように林野庁の森林管理署と合同訓練行などを行い、今まで片道約2時間かかっていたのが片道50分に短縮で出来るようになったそうです。

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【4】御嶽山の御嶽教

秋の紅葉シーズンで賑わい、山での昼食を楽しんでいる最中に山頂付近で噴火大爆発を起こし、多くの犠牲者を出した御嶽山ですが、登ってみると分かるのですが他の山とはちょっと異質な感じを受けます。不気味な感じさえ抱く方もあると思われます。祠や道祖神、お地蔵さんなどは山でよく見かけますが、御嶽山では○○神霊と書かれたたくさんの石碑や行者の像が建てられているのを目にすることが出来ます。

「御嶽講」というものがあって昔から多くの信者が登っていた信仰の山だということは聞いていましたので、そんな信者が記念に寄進した物だろと思っていました。

この石碑に書かれた神霊とは一体何なのか、そしてこの石碑は何のために建てられたものなのか疑問に思いながらも・・・。

御嶽山ではこの神霊碑が集められている所を神霊場と言うそうですが、そこで御嶽教の行者が”いたこ”のように憑依して託宣する宗教儀礼を行なっているという記事を目にしました。

調べていくと御嶽山で感じた違和感は青森の「恐山」に抱いていたものと同じ違和感だったんだと思い至りました。御嶽山は”黄泉がえり”の山でもあったのです。

この続きはOB会ホームページで

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【5】スイスで救助犬のトレーニング

スイスでは雪崩に巻き込まれた人を助ける救助犬が雪崩の本格化する時期を控えアルプスの雪山で訓練を行っているそうです。

アルプスの救助犬は200年以上も前から遭難者の多い修道院で代々使われていて、何千人もの遭難者を救助していたということです。 中でも40人もの人を救助したというセントバーナード犬のバリーが有名だそうです。

犬は鋭い嗅覚を持っているので、雪に閉じ込められた被災者を見つけ、雪の中に潜って救出することが出来るということです。首の下に小さな樽を付けているの救助犬のセントバーナード犬は写真などで見たことがあるかと思いますが、樽に何が入ってるかご存知でしょうか。実は樽の中にはラム酒やブランディーが入っているそうです。これは要救助者の気付や体温を上げるためのものようです。

このスイスの雪崩の遭難救助犬は災害救助犬の走りでもあるようです。狩猟や家畜管理など人の手先として使われている犬ですが、倒壊した建物などから要救助者を捜索するような災害などにも活躍の場を広げています。日本では雪崩などの救助には使われていませんが、災害救助や税関や警察の捜索などに大活躍しています。

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【6】唐松沢が氷河に認定される

北アルプスの唐松岳の北東に位置する唐松沢雪渓が日本で7番目の氷河として10月1日に認定されました。唐松沢は唐松岳と不帰嶮の間にある沢で調査によると氷厚は平均25mあるということです。氷河は氷体を持ち、それが移動していることが認定の基準ということです。唐松沢の雪渓は測定期間の29日間で25cmも動いていることが確認されこの度認定されたということです。日本で唐松沢雪渓以外で氷河として認定されているのは立山の御前沢雪渓と内蔵助雪渓、剣岳の三ノ窓雪渓、小窓雪渓、池ノ谷氷雪渓、鹿島槍のカクネ里雪渓ということです。

日本にはかつて氷河によって削られたカールやU字谷はたくさん残っているものの、雪はヨーロッパよりもたくさん降るのにヨーロッパアルプスのように長大な氷河が現存していないのはどうしてなのでしょうか。それは夏場の気温によるもののようです。夏場の気温が高いために秋までに溶けてしまうので現存する氷河が少ないようです。

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【7】行ってきました 山行Now

金時山2015年12月15日

浅間隠山2016年12月8日 

パノラマ台206年12月30日

王岳2017年12月21日

「今まで行ってきました」で紹介した山行記録を月別の一覧表にまとめました。HPのメニューからご覧いただけます。

「行ってきました」過去山行記録一覧

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【8】編集後記

あっという間に2019年も終わろうとしています。皆さんにとって2019年はどんな年だったでしょうか。時代は令和に変わり、新しい出会いや悲しい別れもあったかと思います。今年一番うれしかつたことは何でしょうか。叶わなかった思いは何でしょうか。

来年はオリンピック・パラリンピックイヤーですが、政治、経済、社会はますます不安定で、大雨や地震などの天変地異も続いて先行きも不安な時代です。どんな年になるのでしょうか。

OB会ホームページの閲覧者数は初年度の2016年はは3ヶ月だけだったので延287人、2017年は1344人、2018年は1785人、そして今年は12月26日現在、2605人でした。閲覧者数が増えてきているのは担当者としてはうれしいことです。これからもよろしくお願いします。

皆さんにとってくる年が良き年であることを祈りつつ今年のメールマガジンを閉めさせていただきます。ありがとうございました。

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【9】記事の募集とマガジンについて

このメールマガジ ンは毎月1回(発行日は不定)、OB 会会員にお送りしているものです。次号以降配信が必要ない方は、メールでその旨お知らせください。また、記事はホームページにリンクしていますので、今後別のアドレスへの配信を希望される方はその旨連絡下さい。

本ホームページでは記事を募集しています。投稿・寄稿をどうぞお寄せ下さい。山行記録は当時のものでも個人の新しい記録でも結構です。当時の写真だけでも記録として蓄積したいと思っていますので、宜しくお願いします。山行記録のほかに、紀行文、コラム、近況報告などの直接投稿やメールでの寄稿もよろしくお願いします。

※投稿やお問い合わせメールは dokkyo.wvob@gmail.com 担当手島までお願いし ます。

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獨協中学・高等学校ワンダーフォーゲル部OB会 メールマガジン

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『御嶽山の御嶽教』

「御嶽教の神がかり」

秋の紅葉シーズンで賑わい、山での昼食を楽しんでいる最中に山頂付近で噴火大爆発を起こし、多くの犠牲者を出した御嶽山ですが、登ってみると分かるのですが他の山とはちょっと異質な感じを受けます。不気味な感じさえ抱く方もあると思われます。祠や道祖神、お地蔵さんなどは山でよく見かけますが、御嶽山では○○神霊と書かれたたくさんの石碑や行者の像が建てられているのを目にすることが出来ます。

「御嶽講」というものがあって昔から多くの信者が登っていた信仰の山だということは聞いていましたので、そんな信者が記念に寄進した物だろと思っていました。

この石碑に書かれた神霊とは一体何なのか、そしてこの石碑は何のために建てられたものなのか疑問に思いながらも・・・。

御嶽山ではこの神霊碑が集められている所を神霊場と言うそうですが、そこで御嶽教の行者が”いたこ”のように憑依して託宣する宗教儀礼を行なっているという記事を目にしました。

調べていくと御嶽山で感じた違和感は青森の「恐山」に抱いていたものと同じ違和感だったんだと思い至りました。御嶽山は”黄泉がえり”の山でもあったのです。

令和元年版の文化庁の宗教年鑑によりますと御嶽教の信者数は全国に47,990人ほどいて、他に御嶽教修正派,御嶽山曽間本教,御嶽山大教などの教派もあるようです。神道13派のうち圧倒的な数の違いはあるものの天理教(信者は4,572,417人)に次ぐ信者数を持つ教団だということです。祭神は国常立尊、大己貴命、少彦名命の三柱を「御嶽大神」とし、江戸時代に黒沢口登山道を開闢した「覚明」行者を開山神霊、王滝口登山道を開闢した「普寛」行者を開闢神霊として崇敬しています。そして1873年(明治6年)に下山応助が全国の御嶽大神を崇拝する信仰者を集団結合させ、1882(明治15)年に平山省斎が初代管長となり、教派神道の一派として公認されています。

御嶽教はおよそ1200 年余り前の 774 (宝亀 5 )年に国内で疫病が発生し、国司の信濃守石川望足が「国常立尊」と「大巳貴命」と「少彦名」を御嶽山に祀り、疫病の平癒と退散を祈願したことがその後の御嶽登拝につながるきっかけとなったということです。

古来、山岳宗教にはその根底に一種の「生まれ変わり」を意図する世界観があります。人間は聖なる山岳に存在する霊魂が御神縁によって女人の体内に宿り、神の分霊としてこの世に生まれ、神のお恵みを受けて育成生長し、死後は、またその根元である聖なる山へ帰るものと考えられています。山中に建てられた○○神霊と書かれた石碑は亡くなられた信者が山に帰った証として建てられ祀られている墓碑にも似たものであるようです。黒沢口には5,000体もの神霊碑が建っていて祀られているということです。

またこの御嶽教には「御座」(ござ又はおざ)という特徴的な宗教儀礼があります。「中座」と呼ばれる行者に霊神が神がかりし、子孫にお告げや言葉をかけるという信仰が今も受け継がれています。「御座立て」と称され、神仏や霊神が降臨し(神霊を憑依させ)託宣を行うシャーマニスティックな巫儀儀礼であり、”神がかり”によって病気治療や卜占を行う信仰です。

この御座には中座、前座先達・四天などの役割を持った行者が登場し、一連の 行事を司ります。前座は神がかりする中座を誘導・コントロールする役割を持っています。中座は神がかりをする巫(神霊が中座に憑依し託宣する)の役割になります。講中が経文を読むうちに中座に神が乗り移ります。四天は中座に悪魔が誤ってとり憑かないように中座を守護する役割を担います。神のお告げは前座の先達を通して信者に伝えられ、病気治療や行事などをト占います。医者に見放された瀕死の病人が生きかえった話とか、神のお告げ通り農作物が不作だった話、卜占によって株の売買を行い巨利を博したという株屋の話など、いわゆる奇蹟に類した話が数多く伝えられているといいます。

降臨する神霊の中で神仏は上位に置かれ、短時間だけ降臨し全体に対する簡単な挨拶や助言を行うと、たちまち昇天してしまうそうです。しかしその一方で、元々人間であった者が神格化した霊神は神仏より低位に置かれ、頻繁に降臨しては比較的長時間留まり、全体に対する挨拶のみならず個々の信者への相談に回答したり、信者の身体に御祓いや加持付けなどを行なったりするということです。霊神は信者にとって一番身近な崇敬対象であり、神仏と信者の間をつなぎ、御嶽信仰を下支えする重要な存在となっているようです。

この神がかりの宗教儀礼は江戸時代に秩父の大滝村出身で王滝口登山道を開闢した「普寛」という開闢神霊となっている行者が編み出したと言われています。

古来、宗教と占いは切っても切れない関係にあり、卑弥呼を初めとしてまつりごとは占星術師やいろいろな占いによって決められており、おみくじやお祓いなども本来シャーマニスティクな宗教儀礼を基にしているものだと思われます。「沖縄ユタや神人」、「恐山のいたこ」などの口寄せをはじめとして現在もなお精神的な深部にあるスピリチュアルな部分は

御嶽教にはこの神がかりという根源的な  宗教儀礼として位置づられて今に残っているのでしょう。


『御嶽教の開山二霊神』

御嶽教に教祖はなく、山岳宗教から派生した神道であり黒沢口登山道を開闢した「覚明」行者と王滝口登山道を開闢した「普寛」行者の二人の行者を開山霊神として崇拝しています。

御嶽山の集団登山は富士山など多くの山岳と同じように道者たちにより室町時代から始まっていたようです。各地で高山の霊気に触れ、地上では経験できない宗教体験をしようとする人々により「登山講社」が結成されるようになり、次第に一般にも広まっていきました。しかし、御嶽山の登拝を司る御嶽神社神宮は数ヶ月にわたり身を清めるためのいろいろな決まり事が課せられていて一般の人々に登拝は認められていませんでした。

そんな中、一般信者の登拝を許可してもらえるよう嘆願したのが尾張出身の「覚明」行者でした。しかし、数百年続けられてきた慣習を破ることになる許可はなかなか得ることができませんでした。痺れを切らした覚明は1785(天明5)年の夏に無許可のまま多くの信徒を引き連れて頂上登拝を強行します。その後も覚明は勝手に登拝を続けるとともに登山道の改修にも勤め、一般信者が登拝しやすいよう整備にも精進していました。しかし、翌年の1786(天明6)年の夏に御嶽山の二の池あたりで病み、事業半ばでその生涯を閉じてしまいます。

その後、信徒たちは覚明行者の遺志を受け継ぎ、登山道の改修にも尽力しながら一般庶民の御嶽信仰を急速に普及させていきました。御嶽登拝を希望するものも年々増えていく中で御嶽神社神宮も覚明の志を認めるようになり、1792(寛政 4 )年の正月に軽精進による登拝を認めてもらうための申請を黒沢村の役人の承認状を添えて代官所へ提出し、裁可を得ることが出来きました。これにより一般信者の登拝が可能になりました。とは言うものの、まだ登山の期間 は毎年 6 月14日から18日までの5 日間と限定されたものでした。しかし、このことにより御嶽登山者は年々増加し、全国的な信仰へと拡大していったのです。

さて、もう一人の開山行者となる「普寛」行者はというと、黒沢口からの軽精進が正式に許可された年に御嶽登山新ルート開拓の念願をも って武州秩父から来村してきました。当時すでに王滝口登山道は開かれてはいましたが、直接頂上へは繫がってはいませんでした。普寛行者は元々、武州御嶽(奥多摩の御嶽山)で火難・病難除けを祈願して講社を結んで登拝を行なっていました。しかし、武州御嶽より遥かに高い木曽御嶽の方が一層のご利益があるとして自ら木曽御嶽の登拝を行いながら王滝口からの直接登拝を探るとともに木曽御嶽信仰を江戸の人々に広めていました。

はじめは黒沢村や福島代官所への遠慮から非協力的であった王滝村民も次第に王滝口開山へ積極的に協力するようになり、多くの信者も獲得していったのです。 今まで御嶽登山口を独占してきた黒沢村との間に紛争も生ずるようになりましたが、福島宿繁栄のためと福島役人の仲裁により王滝口登山道が公認されたのです。かくして黒沢口と王滝口からの御嶽山登拝が可能となったのです。


この記事は菅原壽清著『木曽御嶽信仰-宗教人類学的研究-』及び「宗教研究」に掲載されている牧野眞一氏の記事などを参考(一部引用)にして会員用の記事にさせていただきました。不正確な部分がああればご容赦ください。

偶然の出会い

先日、JR で偶然独協高校一年生のワンゲル部員と会いました。

夕方、大宮駅から私のすぐそばに、独協の制服の生徒が乗車してきました。たまに見かける懐かしい制服ですが、何故かその時は声を掛けました。

“おじさんも独協の卒業生だよ” “何年前ですか?” “55年くらいまえかな”

“何か部活はおやりになってましたか?” “うん、ワングル部だったヨ” “え?僕もです!”

名前も聞かなかったですが、古河から通う好青年でした。たった一駅間の短い会話でしたがその日は一日嬉しく、うきうきさせて頂きました。ワンゲル部OB会のHPがあることを教えました。

S41年卒 菅野則一

2019忘年会

巣鴨・東僑酒楼にて冨樫S43年卒、本多(S43年卒)、田中(S43年卒)、木村(S44年卒)、佐久間(S44年卒)、手島(S47年卒)、柳澤(S49年卒)の7名で2019忘年会を開きました。2019.12.14

本多さん(左)と木村さん(右)
冨樫さん(左)と佐久間さん(右)
木村さん(左)と田中さん(右)
柳澤さん(左)

左から柳澤さん、木村さん、本多さん、冨樫さん、手島
柳澤、手島、冨樫、田中で二次会へ

メールマガジン11月号 / 2019

獨協中学・高等学校ワンダーフォーゲル部OB会メールマガジン 2019/11/29

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DWVのOBを山の話題で結ぶメールマガジン11月号の配信です。

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△▲△▲△        も くじ  △▲△▲△

【1】ドローンを活用した山岳救助の実験

【2】コロンビアスポーツの”マザー”逝く

【3】バック型携帯基地局で遭難者救助

【4】ドングリが不作で熊の出没に注意

【5】登山家の田部井さんを記念して

【6】朝日連峰に新しい登山基地が出来る

【7】行ってきました 山行Now

【8】編集後記

【9】記事の募集とマガジンについて

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【1】ドローンを活用した山岳救助の実験

11月の雪の積もった富士山に軽装で登り、インターネットでライブ発信していた人が滑落して死亡したという事故が話題になっています。

インバウンドを含めて観光気分で富士登山をしていて高山病や低体温症、疲労などで救助が必要になるケースが年々増えています。2019年の2カ月の開山期間中、御殿場消防署山岳救助隊では18回の出動要請があったということです。

そんな中、御殿場消防署では11月から1ヶ月間遭難者捜索のために実験的にKDDIの「スマートドローン」が導入されました

。昨年10月、KDDIは富士山御殿場ルートでスマートドローンを使った「ドローン山岳救助支援システム富士山実証実験」を実施し、同年11月には御殿場市と「包括連携協定」を締結して富士登山の安心・安全への取り組みを進めてきており、本年11月より1ヶ月間、御殿場消防署にスマートドローンが配備されることになったということです。

KDDIのスマートドローンはコンパクトでありながら、標高の高い場所で強風の中でも飛行できるよう大型のプロペラを備えており、上空から地上を捜索するために光学30倍ズーム機能を持つフルHDカメラを搭載した山岳用にカスタマイズされた物だということです。

救助隊はスマートドローンとともにクルマで出動し、登山口で上空にドローンを飛ばし、同時に並行して人力でも捜索行います。ドローンの映像は登山口に残った隊員と消防署の両者でモニタリングするということです。ドローンを活用したより迅速で精度の高い捜索を目指して実証が進められているということです。

この山岳救助にドローンを活用しようとする取り組みは御殿場署だけでなく京都府福知山消防本部でもドローンを使って捜索し、救助隊が現着してヘリコプターで搬送するという一連の合同訓練を実施しているということです。

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【2】コロンビアスポーツの”マザー”逝く

コロンビアスポーツウェアカンパニーの会長で“マザー”として慕われたガート・ボイル氏が去る2019年11月3日に亡くなりました。(享年95歳)

ガート・ボイル氏は社長としての業務はもちろん、同社のアイコンとして広告塔にもなって活躍されていた人です。ガート・ボイル氏は創業者ポール・ラムフロムの娘で、二代目社長に就いた釣り好きの夫のためにポケットのたくさんついたフィッシングベストを考案し同社のベストセラー商品になったのを始めとして、早逝した夫の後を継いで社長になり息子に後を任せるまで50年以上に渡って責任者として業績の拡大に努めた人です。

このガート・ボイル氏については以前本ホームページで取り上げているので、下記を参照ください。コロンビアスポーツのゴッドマザー

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【3】バック型携帯基地局で遭難者救助

KDDIではバッグ型(可搬型)の携帯電話基地局を開発。新潟県魚沼市消防署の協力を得て、遭難者を携帯電話の電波を使って捜索するという実証実験を行ったということです。

魚沼市にある荒沢岳は登山者に人気だそうですが、携帯電話の電波がつながらない所にあります。年間10件ほど遭難者の捜索に出動しているということです。

そこで遭難者を探すため、このバッグを持ったスタッフがヘリコプターに乗って上空から携帯電話の電波を発射。圏外の場所でも遭難者の居場所がタブレットの地図上に表示され、GPS情報を取得することで位置情報の詳細も確認でき、現地指揮本部に緯度経度を伝達することが出来ます。さらに遭難者に対してSMSを送信したり、ヘリコプターの基地局を経由して、音声通話することも可能になるということです。

上空300mでヘリコプターが飛んだ場合、横方向に1.6kmの範囲で音声通話が可能で、SMSや携帯電話のGPS情報を取得するのであれば、2kmの範囲まで電波を飛ばすことができるということです。

遭難者の捜索をより迅速に効率的に行えるアイテムが増えてきているのは喜ばしいことです。

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【4】ドングリが不作でこの秋は熊の出没に注意

ドングリ(ミズナラ、コナラ、クリなど)の豊凶作とクマが目撃される頻度には関係があると言われています。クマは冬眠前にエネルギー源になる大量のドングリを採食するということですが、ドングリが不作または凶作の場合にエネルギー収支を補うために里山に出でくるケースが多くなるのではないかと考えられています。

群馬県内では8月には177件、9月にも123件のクマの目撃情報や出没が確認されています。現在の統計で最も多かった12年度の777件を大幅に上回っており、今後さらに増える見込みだということです。岐阜県でもクマの目撃件数は昨年は286件ありましたが、今年は9月末までで481件となっているそうです。

群馬県では9月上中旬に利根沼田地域でブナ、ミズナラ、コナラ、クリ、ミズキを対象にドングリの実り具合を調査しており、ミズナラ、コナラ、クリは不作、ブナは大凶作となっているとして、5種の合計を不作と認定しています。

食料が乏しいことで、クマの行動範囲が広くなる可能性が高いとして、「山に入る際は複数人で行動したり、鈴やラジオなど音の出るものを携帯してほしい」と警戒を呼び掛けています。

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【5】登山家の田部井さんを記念して冥王星と日和田山に田部井さんの名が記されました

女性初のエベレスト登頂や7大陸最高峰登頂など数々の山歴を持ち、2016年に77歳で亡くなった田部井淳子さんを記念して国際天文学連合は冥王星にある山に「タベイ山」と命名することを決めたということです。

タベイ山は、特徴的なハート形をしたスプートニク平原の南側に位置するということです。命名を扱う作業部会メンバーの渡部潤一・国立天文台教授によると、冥王星の地形を撮影した米探査機ニューホライズンズのチームが提案したということです。

さらに、日高にある日和田山の登山口にはこの度、田部井さんの記念碑が地元有志によって建てられました。田部井さんは若い頃から日和田山に岩登りの練習に訪れ、また晩年ガンを発症した後も自宅の川越市から毎週のように訪れ、リハビリを続けていたということです。

田部井さんの月命日になると、田部井さんを慕う登山愛好家が集まり「思い出登山」を実施しているそうです。登山道口の脇にある駐車場に設置した記念碑は、エベレストをモチーフにした「山型」で、笑みを浮べる生前の田部井さんの写真と感謝文が刻まれているそうです。

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【6】朝日連峰に新しい登山基地が出来る

かつてDWVではアルプスのように混んでいたり、危険な箇所もなく時間をかけてゆったりした縦走を経験することができるということもあって夏合宿では朝日連峰や飯豊連峰によく登っていました。当時は小学校にテントを張ったり、トラックをチャーターしたりとアプローチもなかなか不便なものでした。

そんな朝日連峰の登山口になる古寺に宿泊可の「大江町朝日連峰古寺案内センター」が完成したそうです。来年5月からの営業を目指して準備が進められているそうです。

案内センターは木造2階建てで、延べ床面積は約276㎡。和室1室に25人の宿泊が可能で食堂や会議室も備えており、防災拠点や山岳救助の前線基地としても使用される予定だということです。

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【7】行ってきました 山行Now

茶臼岳2018年10月24日

御正体山2017年11月2日

磐梯山2019年11月3日

飯盛山2017年11.月9日

十二ヶ岳2017年11月9日

茅ヶ岳2017年11月19日

武甲山2019年11月21日

「行ってきました」で今まで掲載してきた山行記録を一覧表にまとめてリンクを貼ったページをホームページの上メニューに加えました。下記からもご覧いただけます。「行ってきました」過去山行記録一覧

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【8】編集後記

今回取り上げた御殿場消防本部や福知山消防本部だけでなく香川県ほかでもドローンを使った山岳捜索や物品の輸送などの実証実験が盛んに行われています。熱感知カメラにより要救助者を見つけやすくするなど、より高度な捜索も可能になってきているようです。

しかし、そもそもドローンは軍事目的で開発された物です。第二次世界大戦中に開発が進められましたが製品化するまでには至らず、1995年に軍事用ドローンの「RQ-1 プレデター」が偵察機として開発されました。これを基にさらに開発が進められ、今やシリアなど戦闘の最前線で攻撃用無人機として戦闘機に代わるものとして使われている背景を考えると複雑なところがあります。

飛行機やロボット、コンピュータやインターネットのようにどのように使っていくかが問われるのでしょうが、いずれにしても世の中を変えてしまうアイテムの一つになっていくのかも知れませんね。

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【9】記事の募集とマガジンについて

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