ワンダーフォーゲル部は総勢十数人の小さな運動部だ。「ザックを背負って校舎の階段を上り下りしている変な人たち」とか「獨協祭でアイスを売る部活」と一般生徒から誤解を受けている向きもあるが、規模こそ小さいものの登山技術と部員の士気は高く、月1回の山行と年に3回の合宿を中心に活発な活動を続けている。
中でも夏合宿は、一昨年の南アルプス塩見岳縦走、昨年の北アルプス剣岳-剣沢縦走と難易度の高いコースを中学生を含めたパーティーで踏破し、経験と実力を蓄えてきた。創部50周年にあたる今年の夏合宿は、日頃から後援をいただいているワンダーフォーゲル部OB会の協力のもとに北海道大雪連峰の縦走を計画し、成功させることができた。強風の吹く最高峰旭岳の山頂で,現役隊とOB隊が邂逅した瞬間の感動は忘れがたい。
活動の中でしばしば強烈に感じること、それは「自然こそが最高の教師」という一言に尽きる。自然は美しいけれども相手にするとなかなか手ごわい.自分のわがままは通用しないし、甘えたり馴れ合ったりもできない。雨が降れば濡れ雪が降れば凍える。
道は歩きやすい時もあれば最悪の時もある。衣食住の全てを自分たちで背負い、足りない分は我慢するしかない。判断行動の誤りは自分たちにはね返ってくる。道具を正しく扱うこと、五感使って情報を捉えることの大切さがわかる。
バーチャルな環境に囲まれて育ってきた今の子供達にとっては「キツイ」部活には違いない。家でゴロゴロしていたほうが楽だから。それでも時おり入部希望者はやってくる。今後も少数派でいいから充実した活動を続けていければと思う。
最後になりましたが理解し支えてくださる保護者の方々にはお礼の言葉もありません。安全面には気をつけてやっていますので、今後ともよろしくお願いいたします.
DWV顧問 新村三千夫
『獨協PTA会報 第59号平成16・3・10』獨協中学・高等学校P.T.A 発行「クラブ紹介」より転載