獨協高校での部活は思い出深く、楽しいものでした。1学年先輩達の5人が創部したワンゲルに入部した動機は、はっきりした記憶がありませんが、私には二人の兄達が山登りが好きで、家には山の写真用の6 ×6判のカメラや、山岳雑誌があり、その影響があった様にように思われます。
先輩達と早稲田大学のワンゲル部の活動に参加させていただき、美ヶ原高原周辺を散策して当時流行し始めた山の歌や民謡風の歌を、女子大生を囲み楽しそうに合唱している光景に羨ましく思いました。
歌集をコピーして練習しましたがどこか淋しく皆な大きな声で歌っていました。
ワンゲルとしての知識も実績も無く手探りであって、トレーニングにしても目白駅往復のマラソンを気が向けばするだけでした。
ワンゲルでの一番の思い出は上高地横尾キャンプ場での一週間程のキャンプでした。
真夏の暑い東京を出発し、数時間後に涼しい上高地に着き、美しい梓川周辺や河童橋を渡る時に見た穂高連峰の素晴らしい風景を今だに忘れる事が出来ません。ベースキャンプ場を中心に遠くから見ると優雅で美しい常念岳、大滝山、蝶ヶ岳への登山、そしてキャンプ最大の目標であった槍ヶ岳へアタックでした。その登山は途中から岩場の連続で、急な傾斜で厳しい道程でしたが頂上からの景色の素晴らしさに疲れも忘れるほどでした。キャンプ場での梓川の水での飯盒炊飯やキャンプ打上げでのキャンプファイヤーの炎等思い出がたくさんあります。
下山途中で岩につまずき、左腰部を痛めました。1週間後に坐骨神経痛を発症し、その治療のためワンゲルの部活が出来なくなりました。その後ワンゲル部員も増え、体制も整ってきたことを知りながら復活出来ませんでした。
今は亡き、創部当時の二人の先輩達、共に楽しみ、苦しんできた同級生、後輩たちのご冥福をお祈りして、ワンゲルでの思い出とします。
昭和32年卒 滝川国勝