アウトドア用ポータブルストーブの歴史

「さかいや」の72㎝のキスリングのタッシュに入れた凹んだ灯油臭いラジウスの四角い缶とゴーと唸る青い光を懐かしく思う方も多いのではないでしょうか。

灯油やホワイトガソリンを用いたポータブルストーブはプリムス、スベア、オプティマス、ラジウス、ホエーブスと、いろいろなメーカから作られています。特に当時の日本ではラジウスがかなり普及していたようです。

さて、このアウトドア用のポータブルストーブですが、オーストリア製のホエーブスを除きどれもスエーデン製なのをご存知だったでしょうか。

スエーデンではプリムス社が初めて灯油(ケロシン)を用いたコンパクトストーブを生産しました。フラン・ヴィルヘルム・リンドクヴィストが1862年に圧縮空気を利用した無煤煙のケロシン(灯油)ストーブを発明しました。そして、1892年、プリムス株式会社を設立し、プリムスストーブの量産を開始しました。ナンセンやアムンゼンが北極や南極に携帯していったのがプリムスストーブであり、ヒラリーとテンジンがエベレストで使っていたのもプリムスストーブでした。1910年代には年間50万個以上のストーブが生産されていたそうです。

1913年、プリムス社内で労働争議が起こり、当時組合の委員長だったヨハンソンらが会社を飛び出してストーブやランタンを製造する会社を創業したのがラジウス社でした。後発で知名度のないラジウスは日本やアジア諸国に販路を求めたようです。

プリムスのリンドクヴィストがケロシンストーブを発明した頃(前後?)、カール・ニーベリはブロートーチを考案し、幾つかの安全機構を組み込んだ強力で直接加熱できるブロートーチを完成させます。そして1882年、ブロートーチなどの機械や器具を作るニーベリ読書灯工場を設立しますが、プリムスがブロートーチの製造を始めるとニーベリは同じようにケロシンポータブルストーブを造ることになります。「ヴィクトリア」と呼ばれる最初の型はそれほど売れなかったようですが、後の「スヴェア」は良く売れたということです。ニーベリは製品の多くをロシアに納品するようになり、間もなく週に3,000個を製造するようになったそうです。しかし、1922年に会社はマックス・ジーヴェルトに売却され、ジーヴェルト読書灯工場に移行していきます。

1930年代にジーヴェルト読書灯工場ではキャンプス3型ストーブを生産していました。風防と調理用鍋にもなるアルミニウム製の蓋が組み込まれた自己加圧式ストーブでした。キャンプス3型は「ハイカー、サイクリスト、旅行者全般にとっての恩恵」と宣伝されたようでが、1955年には爆発的なヒットになるスベア123が開発されることになります。最初の携帯型トレッキング用ホワイトガソリン・ストーブで、今でも人気のあるアウトドアストーブの一つになっています。

1899年設立の調理器具メーカーであったオプティマス社では1930年代には6型ストーブを発売しており、大きさ、重量、容量、操作性と構造の面でスヴェア123とほぼ同じものでした。

1930年代にはプリムス、スベア、オプティマス、ラジウスなどスエーデン製のポータブルストーブが海外市場を席巻していたようです。

1930年にはストックホルムの小島リラ・エッシンゲンのプリムスの工場では名500名以上の従業員が働いており、この中には後のスエーデン首相ななるペール・アルビン・ハンソンも働いていたということです。スエーデンは伝統的に製造業が盛んで、特に1930年代は国策により合理化と振興が推進された結果、サーブ、ボルボ、ボフォース、エレクトロラックス、ハッセルブラッドなど世界的な競争力を有するようになった企業も複数存在しています。

すでに1939年の日本の登山技術書にもプリムスとラジウスの記述が登場していることから、この頃には既に日本にも輸入されていたようです。

スベアを開発したジーヴェルトは1962年にエッソに買収されます。

オプティマス社は6型ストーブの生産を1940年代に廃止し、コンパクトストーブやランタンの生産からは手を引いていましたが、1963年ラジウスがストーブの生産をやめ、商標をオプティマス社に譲渡することになります。しかし、オプティマス社はラジウスの商標は使うことなくラジウスの歴史は終わってしまいました。その後1969年にオプティマス社はスベアブランドを買収し、以後スベアはオプティマスが生産販売することになります。

ホエーブスはヨーゼフ・ローゼンタール金物製作所というコンパクトストーブやランタンを製造するオーストリアのメーカーによるコンパクトストーブのブランドでガソリンも灯油も部品交換により使用できるものでした。1920年から1992年までまで製造されました。

現在、オプティマスからは”スベア123R”、オプティマス”NOVA”が日本の代理店であるスター商事から販売されています。イワタニ・プリムスからガスバーナーの“2243バーナー”、”153ウルトラバーナー”、”ウルトラ・スパイダーストーブII”、ガソリンや灯油を燃料とした”オムニライトTi”などが販売されています。


複数のネットでの記事を参照して記事を構成しています。検証ができていませんので、不正確な部分もあるかと思います。メーカーの思いを伝えられたらということで記事を作成しましたので、ご理解いただければと思います。

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