コナラやコナラをはじめマテバシイなどドングリを実らせるナラ、シイ、カシなどのブナ科の樹木にカビの仲間である「ナラ菌」が入り込むことにより枯死する現象を「ナラ枯れ」と呼んでいます。
この「ナラ枯れ」は日本海側で顕著だった現象ですが、温暖化の影響もあると言われていますが、今や日本全国の里山や奥山に広がりを見せています。令和2年度には、42都府県で発生し、被害量は令和元年度から13万立方メートル増加して18.5万立方メートルとなってい流という事です。
実はこのナラを枯死させる原因菌になる「ナラ菌」はカシノナガキクイムシという5mmくらいの甲虫が元々持っていて、この虫がナラの木に穴を開けて住み着き、木の中でナラ菌を増殖させそれを食物にして生きているのです。
ナラに入り込んだカシノナガキクイムシはフェロモンで仲間を大量に招き寄せ、卵を産んで集中攻撃を開始します。穴を開けられたナラは樹皮から樹液を流し、次第にナラ菌自体によって水枯れを起こして夏場に枯死してしまうことになります。
次から次へ、山全体が茶色く枯れてしまうとうことにもなっています。また、大木ほど集中攻撃を受けることが多いようです。
多摩市などの都市部でも去年までに公園緑地の樹木で293本、街路樹で15本、学校の樹木9本の被害が報告されています。「明治神宮御苑」の森でも被害が出てきており、対策としてストラップを設置したり、ラップで包んで虫が入り込まないような対策を講じていますが、森林などでは十分な対策が取られないこともあって被害は深刻化しています。
以下の画像は「明治神宮御苑」の森に仕掛けられた捕殺用ストラップの様子です。
「明治神宮御苑」はたくさんの人がお参りに訪れる賑やかな明治神宮の一角にあって、静かで落ち着いた佇まいのオアシス的な庭園です。
もともと熊本藩主の加藤家、後に彦根藩主の井伊家の下屋敷があった庭園で、明治時代になって宮内省の所管になりました。池や菖蒲園もあり、最奥には清正が作ったとされる珍しい横穴方式の井戸があり、バワースポットとしても有名になっています。