環境省では平成24 年1月から「ライチョウ保護増殖事業計画」により、ライチョウの保護増殖事業が進められており、絶滅したとされる中央アルプスに北アルプスから飛来した1羽のライチョウを定着させるべく活動が開始されています。
乗鞍岳から有精卵を持ち込んで木曽駒ヶ岳での繁殖を試みるなどしていましたが、孵化はしたもののヒナは猿に食べられ全滅してしまったため、昨年度は乗鞍岳から3家族計19 羽の個体を移送し、中央アルプスでの定着に向けて事業を推進してきました。
環境省では今年4月下旬から5月末までに実施した調査と一般登山者から提供された目撃情報によって、雄5羽、雌5羽の計10 羽の個体が確認され、5月中旬以降に三ノ沢岳、檜尾岳及び熊沢岳周辺においてそれぞれ少なくとも1個体が生息している痕跡が発見されているということです。これらから昨年度確認された中央アルプスの20個体のうち13 個体が生存しているようです。
雛の孵化(ふか)が見込まれる今月下旬から、同省は家族ごとにケージで保護する準備に取りかかるとともに、今後の調査結果及び繁殖状況(孵化した家族数、雛数)から総合的に判断して一部の家族を茶臼山動物園(長野市)と那須どうぶつ王国(栃木県)にそれぞれ移し、繁殖させて野生復帰させるという事業を進めていくということです。