「トピックス」カテゴリーアーカイブ

各地の高山では雪の便りが

立山黒部アルペンルートHP

富士山の初冠雪は甲府地方気象台から9月7日に1度発表されましたが、観測条件が揃わなかったことから見直され、(20日に一日の平均気温が10.3℃を観測し、今年の最高を更新したため)9月26日に改めて初冠雪が発表されました。

平年より6日早く、昨年より2日早かったということです。全国で今シーズン初めての初冠雪の便りになりました。全国初の初冠雪が富士山になったのは、2012年以来9年振りだったそうです。

10月中旬には既に高山の山小屋は今年の営業を終える中、16日には岩木山、17日には立山、燕岳、八甲田山で初雪、18日には剣山で霧氷、20日には八ヶ岳で初雪の便りが届いています。

現在、千畳敷、男体山、白馬岳、火打山でも積雪があり、涸沢では20センチ、室堂平では15センチの積雪だそうです。秋から冬へ季節が変わっています。

高山はすでに秋が来ています

9月に入って東京でも秋雨前線による長雨で肌寒い日が続いていしたが、北アルプスなどの標高の高い山では朝方は10℃を下回ってきていて、すでに草紅葉も始まっているようです。本格的に季節は秋に変わってきているようです。

富士山では6日(月)にかけて雪雲がかかり降雪があったようで、翌7日(火)には甲府気象台が初冠雪を確認しました。平年より25日、昨年より21日早かったそうです。

富士山は10日で今シーズンの4ルートの全てがす終了します。

今年の夏山の遭難事故件数(長野県)

長野県警察本部山岳安全対策課から今年の夏山での県内の山岳遭難事故の概要が発表されています。

それによると発生件数は88件、遭難者数は91人だったということです。コロナの関係もあったのでしょうが、去年は発生件数が41件で人数は52人ということで、ほぼ倍であったということです。

年齢別では40歳以上が80人で遭難者全体の88%を占めていたということです。また、ソロ登山での遭難は36件だったということです。発生件数の88件のうち転倒や滑落が47件で、病気や疲労が23件あったということです。

コロナ禍にあって、自粛疲れや戸外だという安心感からアウトドア人気に加えて、梅雨が明けてから天候が良かったために多くの登山者が訪れ、遭難の増加につながったのだろうということです。また、コロナ禍で運動不足や体調不良などもあったのではないかと思われます。

長野県警察HP「長野県内の山岳遭難発生状況(週報)」

黒部ダム新ルートの名称を募集中

富山県が黒部ダムを観光資源として関西電力と交渉を進めていた黒部ダムの建設工事や、保守用のルートである欅平から黒部ダムに至る工事用トロッコ電車、竪坑エレベーター、バッテリートロッコ、インクライン(勾配鉄道)専用バスを乗り継いで結んでいく「関西電力黒部ダムルート」が2024年から観光客に一般開放されることになっており、富山駅からの「立山黒部アルペンルート」と結ばれて欅平・宇奈月温泉を経由して黒部宇奈月温泉駅に至るラウンドコースが出来上がることになります。

それに先立って、富山県ではこの新ルートの正式名称を公募しています。

募集期間は2021年9月2日〜10月31日(当日消印)までで、郵便はがきやFAXまたはWEBサイトから一人一点でどなたでも応募できるそうです。詳細はこちらから確認ください。 

今年の夏山の状況

田中廣明氏撮影

本格的な夏山を前に、各地で「山開き」や交通機関の運行開始などのお知らせが届いてきています。昨年は新型コロナの感染症の影響で登山道や山小屋の閉鎖があったりと、登山も感染予防のため自粛や対応など登山の在り方が問われた1年でした。

東京では明日7月12日から再度緊急事態宣言が8月22日まで発令され、埼玉県、千葉県、神奈川県では同期間のまん延防止重点措置が発令され、オリパラやお盆を含めた期間全ての不要不況の外出の自粛が求められている状況ですが、今年の夏山は各エリア登山者や山小屋に対して感染防止のガイドラインの遵守を求めた上での登山が開始されています。

北アルプスでは一部を除いて山小屋もガイドラインに沿って営業を開始しています。登山道も新型コロナ感染症予防の諸注意が提示され、全て開かれているようです。

中部山岳国立公園における登山について(新型コロナウイルス感染症)

山小屋における新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン

南アルプスでは北岳をはじめとして昨年は山小屋も登山道も閉鎖されたために、ほぼ南アルプスは登山できない状況でしたが、今年は一部を除いて登山や宿泊が可能となっています。中央アルプスも同様の状況です。山小屋も完全予約で宿泊費も値上げされている所が多く、シーツ持参を推奨しているようですので、気を付ける必要がありそうです。

中央・南アルプス山小屋情報

富士山の静岡県側登山道が山開き

現在の画像ではありません

新型コロナウイルス感染拡大防止のため昨夏は登山道を閉鎖した富士山ですが、静岡県側の5合目から頂上までの3登山道(須走ルート 御殿場ルート 富士宮ルート)が今日(7月10日)から山開きになり、9月10日までの2カ月間富士登山が開始されます。

山梨県側から(吉田ルート)はすでに7月1日から山開きになっており、2年ぶりに四つのルートが全て開通となりました。山小屋についても新型コロナ対策をとりながら営業が開始されています。

関連記事

「Withコロナ時代の新しい富士登山マナー」ほか今年の富士登山についての記事

富士登山における安全確保のためのガイドライン

ガイドラインリーフレット

木曽駒ヶ岳でライチョウの自然繁殖による雛誕生

かねてより環境省信越環境事務所では中央アルプスで絶滅したライチョウの個体群復活事業を進めており、自然飛来した1羽を手がかりに北アルプスからライチョウの卵や成鳥を移して定着繁殖を試みていました。

先月13日の時点では5組のペアを直接確認できたほか、ふんの量などからさらに2組のペアがいると推測されていました。その後、5組のペアのうち3組の巣で卵を温めていることが確認されていましたが、この度3つの巣で合計20羽の雛が誕生していることが確認されたということです。

定着に向けて、また一歩前進したようです。前回の試みでは孵化した雛はサルに食べられて全滅してしまったこともあり、親鳥と一緒にケージで保護しているということです。

関連記事 木曽駒ヶ岳のライチョウ

関東地方でもマダニ感染症

「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の感染例が千葉県で確認されたことが国立感染症研究所と千葉県衛生研究所から発表されました。

今まで静岡県以西の西日本に限定されていたSFTSが千葉県で初確認されたということです。不明熱患者の242症例のスクリーニング検査を実施した結果、1名につきウイルス抗体が陽性であることが分かったということです。この患者は南房総に住んでいて2017年に発症したということで、発症前には移動歴がなく、マダニの刺し傷も確認されていることから現地で刺されたものと確認されましたが、日本紅斑熱陰性と診断されていたものです。

千葉県は関東地方では数少ない日本紅斑熱やつつが虫病のリケッチア症流行地ということですが、現在マダニが寄生するシカ、イノシシ、アライグマ、キョンなどの野生動物も増えてきていることからウイルスを持つダニも増えてきているのではないかと思われます。

SFTSは治療薬もワクチンもなく致死率が6〜30%と高いだけに、房総のみならず関東全域に広がっていく恐れもあり、登山の折にも気をつけていく必要がありそうです。

マダニ感染症の罹患者数が100人越え

尾瀬はミズバショウからワタスゲへ

福島、群馬、新潟、栃木四県にまたがる尾瀬国立公園は4月29日に山開きしましたが、すでにミズバショウの見頃は終わり、これこれからワタスゲへと移っていこうとしています。(写真は今の状況というわけではありません)

例年より雪解けが早く進んでいたということです。ヨッピ橋近くでフライング気味のニッコウキスゲが1株だけ開花しているそうですが、沼山峠から大江湿原でのニッコウキスゲの見頃は7月20日前後になりそうだということです。尾瀬入山にあたって

尾瀬戸倉方面から尾瀬沼へは6月13日から大清水    一    ノ瀬間の低公害車の運行が開始されています。砂利道の林道を歩かないで済むのはありがたいことです。 低公害車運行の概要と時刻表はこちらから

2020年の山岳遭難事故の概要

警察庁から2020年に全国で発生した山岳遭難の概要について6月17日発表がありました。

2020年に発生した山岳遭難事故は2294件(前年比237件減)、遭難者数は2697人(240人減)、うち死者は241名(8.9%)、行方不明者は37人(1.4%)、負傷者974人(36.1%)、無事救出者1445人(53.6%)だったそうです。

都道府県別の山岳遭難発生状況では長野県が183件と最も多く、次い で北海道176件、神奈川県144件だったということです。

目的別では遭難者2697人のうち、登山(ハイキング、スキー登 山、沢登り、岩登りを含む。)が75.6%と最も多く、次いで山菜・茸採りが 14.1%ということでした。

また、態様別では、道迷いが44.0%と最も多く、次いで滑落が15.7 %、転倒が13.8 %ということでした。

年齢層別 では80〜89歳が196人で7.3%、70〜79歳が 636人で23.6%、60〜69歳が511人18.9%、50〜59歳が44.4人で16.5%、40〜40歳が321人で11.9%、30〜39歳が231人で11.9%、20〜29歳が194人で7.2%だったそうです。

40歳以上が2115人と全体の78.4%を占め、また、60歳以上が1350人と全体の50.1%を占めていたそうです。 また、死者・行方不明者では、40歳以上が254人と全体の91.4%を占め、60歳以上が203人と全体の73.0%を占めていたそうです。

昨年は山岳遭難事故が大幅に減少したのは、新型コロナ感染拡大のため各地の山小屋や登山道の閉鎖や自粛のために山行自体が少なかったことが遭難件数の減少につながったものと考えられます。

「令和2年における山岳遭難の概要」警察庁生活安全局生活安全企画課