インド北部で大規模な氷河崩壊

この画像はカシミール渓谷のフリー画像
2021年2月7日インド北部で発生した大規模な氷河崩壊による鉄砲水は、水力発電所の工事現場にいた作業員など60名が死亡したほか、150人以上が行方不明になっているとAFPは伝えています。
ヒマラヤだけでなく、世界各国で温暖化の影響で氷河が融解し、氷河が後退(喪失)していっていることが問題になっています。また、氷河が融解したことにより、氷河湖が増えたり、氷河湖の水位がどんどん上昇して決壊する事例も増えてきているそうです。
1990年から2010年にかけて、アジアの高山地帯では氷河を水源とする氷河湖が新たに900カ所以上も形成されているようです。湖の水位が上がると、土手のようになっている湖の端のモレーンを越えてあふれ出したり、最悪の場合にはモレーンが決壊したりすることが起こっているということです。これが科学者の言う「氷河湖決壊洪水」(GLOF)で、地元の少数民族であるシェルパは、同じ事象を「チュ・グマ」(壊滅的な洪水)と呼んでいるそうです。今回の災害の原因の詳細はまだ明らかにされていませんが、今回のインドの氷河決壊も温暖化が原因ではないかと考えられるようです。
ヒマラヤの氷河は急速に融解しており、中央部と東部の氷河が2035年までに完全に消えるとする専門家の指摘もあります。また、アフガニスタン、パキスタン、中国、インド、ネパール、ブータン、ミャンマーにまたがる地域では地球温暖化のペース次第では、およそ5万6000カ所ある氷河の3分の1から3分の2が、2100年までに消滅するという研究結果もあります。
2019年にコロンビア大学のマウアー氏は1975年に撮られた衛星画像と、2000年、2016年の衛星画像を比較した研究を発表しているそうで、それによると、2000年以降に1年間で解けた氷河の量は83億トン、2000年以降は毎年1%の割合で消失、その量はオリンピックサイズのプール300万個の水量に匹敵し、2000年以降の年間融解量は、1975年から2000年の年平均の2倍になっているそうです。

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