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今年の富士登山は?
3月24日、富士山の標高2100mの大沢崩れで降雨によって雪が溶けて土砂を巻き込んで流れ下るスラッシュ雪崩が発生し、山梨側の麓と5合目を結ぶ有料道路「富士スバルライン」の4~5合目間4カ所の計325メートルに土砂が流入しました。
雪解けとともに例年発生しているスラッシュ雪崩ですが、急に暖かくなったせいでしょうか、今年のような複数回の目立ったスラッシュ雪崩は2018年以来ということです。
さて、昨年は新型コロナの感染防止のために全ての山小屋が休業し登山道が閉鎖されてしまいましたが、今年はどうなるのでしょうか。
富士山の山小屋や関係団体は今年は夏山を開く事で準備を進めいるようですが、夏山シーズンに向けて国や山梨と静岡の両県、それに富士山のふもとの市町村などで構成する「富士山における適正利用推進協議会」はコロナ禍にあっての富士山を登る際のマナーを策定しました。(With コロナ時代の新しい富士登山マナー)
- 発熱・症状のある時は登山を行わない
- なるべく住居を共にしている少人数で登山
- 混雑する日や時間帯を避ける
- 山小屋は必ず事前予約
- 宿泊をともなわないご来光目的の夜間登山は行わない
- 最新情報をよく確認し、安全に配慮した余裕のある登山計画を立てる
- 感染対策グッズを準備
- 同行者以外の人とはソーシャルディスタンスを確保
- 必要に応じてマスクや手ぬぐいなどで鼻と口を覆う
- 登山道の渋滞時には交互登下山に協力を
- 呼吸を荒げないよう、自分のペースを維持
- 同行者以外との物品の共有、杭やロープへの接触は避ける
- トイレや売店を利用した後は、必ず手指消毒
- ゴミや吐物は密閉式の袋に入れて持ち帰る
- 体調不良時等は速やかに登山を中止して下山
それぞれの山小屋ではコロナ禍での開業に向けて、人数制限と予約の徹底、各所へのアルコール配置、食堂や寝床などの各部屋内を分けるためのパーティションの設置、使い捨てシーツの活用、換気システムの導入、寝床のスペースの改良など対策を進めているようです。
関係者はスバルラインの夜間営業停止や検温の周知徹底、観光バスやタクシー、マイカー利用者はスバルライン料金所で検温や体調確認の書類提出し、協力しない場合は通行させないことを求めるなどの要望を山梨県に求めているようです。
富士山の開山については5月に決定するということのようです。
「ナラ枯れ」が深刻になっています
コナラやコナラをはじめマテバシイなどドングリを実らせるナラ、シイ、カシなどのブナ科の樹木にカビの仲間である「ナラ菌」が入り込むことにより枯死する現象を「ナラ枯れ」と呼んでいます。
「明治神宮御苑」はたくさんの人がお参りに訪れる賑やかな明治神宮の一角にあって、静かで落ち着いた佇まいのオアシス的な庭園です。
もともと熊本藩主の加藤家、後に彦根藩主の井伊家の下屋敷があった庭園で、明治時代になって宮内省の所管になりました。池や菖蒲園もあり、最奥には清正が作ったとされる珍しい横穴方式の井戸があり、バワースポットとしても有名になっています。
ウインパーの切れたロープの謎
書評 河野 啓著「デス・ゾーン」
書評 河野 啓著「デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場」
冬季K2の初登頂なる
古(いにしえ)の登山者
2019年7月号のメールマガジンから転載した記事になります。
剱岳は1906(明治39)年、陸軍参謀本部陸地測量部(現国土地理院)の測量隊が「点の記」を記すべく史上初の登頂を果たしましたが、頂上直下に奈良時代か平安時代の修験者が持っていたと思われる錆び付いた鉄剣と銅製の錫杖を発見して持ち帰っていることが知られています。そんな昔に剱岳を登っていたなんて信じられない気もしますが、本当に大昔から人は山に登っていたのですね。
立山開山縁起によると立山は越中国司の息子の佐伯有頼によって飛鳥時代の701年に開山されたといわれています。また、白山は奈良時代の717年に修験道の泰澄という僧が登頂を果たし、今年開山1300年を迎えています。
平安時代には富士山などもすでに登られていたようですし、戦国時代の1584年には越中富山の城主の佐々成政が秀吉を倒す相談のために富山から厳冬期(12月)の立山のザラ峠、針ノ木峠を越え信濃路を通って浜松の徳川家康に会いに行き、再び往路を帰っていったという伝説が残っています。
槍ヶ岳は播隆上人によって1828年に登頂され、1640年に加賀藩によって組織された黒部奥山廻り役の役人は1870年まで藩林保護のために北アルプスの主峰のほとんどを登って回っていたといいます。
1820年前後にはおおよその名だたる山が踏破されていたようです。1820年代は江戸時代の文政年間にあたり、シーボルトが登場してくる時代であります。情報も装備も十分ではなかった時代に登頂を果たそうという思いとはどんなものだったのでしょうか。
ジョージ・マロリーの挑戦
先だって前号のメールマガジンでもご紹介した日本山岳会主催の「登山史上最大のミステリー マロリーとアーヴィンを探して」と題したZoomによるオンラインセミナーを拝聴しました。講師のジャック・ノートン氏は1999年にエベレストでマロリーの遺体を発見した「マロリー捜索隊」のメンバーでした。このセミナーを基にマロリーのエベレスト挑戦と遺体発見についてご紹介します。
マロリーの最後の挑戦となったのは1924年の第3次英国エベレスト遠征隊で、マロリーは登山経験は少なかったものの若く、酸素ボンベの扱い能力も高いアーヴィンをパートナーに選んでアタックに臨みました。
当時エベレストは北東稜からの挑戦でしたが、難関は頂上直下の第2ステップでした。二人は8,600m付近までは登って来ていることが確認されているものの、その後行方不明になり、そして帰らぬ人になってしまいました。
エベレストの初登頂は南東陵から1953年に英国で組織されたエベレスト探検隊のオーストラリア出身のヒラリーとシェルパのテンジンによって登頂されましたが、マロリーとアーヴィンが登頂を果たしたのかどうかが話題になっていました。
そこで、1999年にイギリスとアメリカの放送局の共同企画として「マロリー捜索隊」が組織されました。今回講師のノートン氏もアメリカ人登山家として捜索隊に参加していました。
マロリーたちの死後75年を経て、捜索隊は8,160m付近でうつ伏せになった大理石の彫像のようなマロリーの遺体を発見しました。うつ伏せになった下部の衣服は残っていたものの、紫外線にさらされた上部の衣服は失い、肌が露出した状態で発見されました。残った衣服からはマロリーの名前が確認されています。
片足は砕けていましたが遺体の損傷は少なく、片足は登山靴が履かれた状態でしたが、靴鋲は一部剥がれていたそうです。体には数メートルのザイルが結ばれたままになっており、アーヴィンとアンザイレンした状態で滑落したことが伺えました。彼のポケットにはゴーグルが仕舞われており、暗くなっていたか下山中だったのではないかと考えられました。また、持ち物の中には登頂した時に頂上に埋めると約束していた妻の写真は見つからず、登頂した可能性が残りました。
第2ステップは3回のエベレスト登頂を果たしている講師のノートン氏も登ることが出来なかったほど困難な箇所で、マロリー当時の装備やフリーの技術では到底超えることは出来なかったのではないかと思われるということです。エベレストの単独無酸素登頂を果たしているラインフォルト・メスナーも著書「マロリーは2度死んだ」の中で同じことを述べています。
その後、第2ステップは1960年に中国隊の人界戦術によって「はしご」が掛けられて、初めて北東陵からの登頂が成し遂げられました。北東陵は現在もそのはしごを利用して登られているようです。
また、酸素ボンベの残量が記載されているメモが遺体から発見されていますが、それによると酸素は下山するまでの残量はなかったということでした。
その後も数回にわたってアーヴィンの遺体の捜索が行われましたが、アーヴィンの遺体も登頂時を写すために持っていったコダックのカメラもまだ発見されていません。今後、衛星写真の解析でアーヴィンの遺体も発見できる可能性もあるとのことでした。
現在、エベレストには200体以上の遺体が放置されており、発見されたマロリーの遺体も危険を冒して回収することはしないでその地で静かに眠らせておいて欲しいという妻の意向もあり、簡単な葬儀をして礫土をかけてそのまま残されています。
マダニの感染症の罹患者数が100人超え
2019年12月のメールマガジンから転載した記事になります。
国立感染症研究所は2019年12月17日マダニが媒介する致死率の高い感染症である「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)の今年の感染報告者数が初めて100人を超えたと発表しました。(うち4人が死亡) 注1
SFTSはウイルスを持ったダニにかまれると6日~2週間で発症し、発熱や倦怠感、筋肉、発疹、関節痛、腹痛、下痢ななどの症状が出ます。有効なワクチンや薬がなく、重症化すると死に至ることもあるということです。
2009年に中国で発症が確認されたのを初めとして、東京での1例を除いて九州、四国や関西北陸など西日本を中心に発症が報告されています。患者総数492人の約14%に当たる69人が死亡しています。注 2 猫などの発症したペットからの感染も報告されています。
近年シカやイノシシなどが増えてきていることもあり、ダニやヒルが多くなってきているようです。増草むらなどに入る機会が多い場合は袖口を絞れる長袖や長ズボンを着用するとか防虫スプレーをかけておくなど注意が必要なようです。
また、服などに入っても直ぐにはかまないのでよく確認し、かまれた場合は無理に引き抜くとマダニの口の一部が皮膚内に残る可能性があるため、ダニが付いていたらといって慌てて払ったりすると大変なことになります。冷静な対応が必要です。皮膚科で取ってもらうのがいいと言われますが、受診するまでダニを付けたままでいるということは物理的にも精神的にも現実的ではありません。虫を口を中心に回すようにすると上手く抜くことが出来るということですが、ピンセットでもなければ難しいと思われます。やはり、防虫スプレーか防虫テープでの予防が現実的のようです。通販でも「Tick Twister」というプラスチックの小さな釘抜のような専用ダニ取り器が販売されています。値段も安いので非常用バックに加えておくのもいいかもしれません。
2020年5月現在での状況
注1:2019年内の最終罹患者数は102例で、死亡例は5例となっています。
注2: 2020年5月現在の罹患者数は517例で死亡例は70例で死亡率は13.5%になります。6月以降のデータについては国立感染症研究所の発表はありません。
登山に適した栄養の取り方
2018年8月のメールマガジンから転載された記事になります。
【登山前のスタミナ食は筋グリコーゲン】
「さあ、明日は山だからスタミナつけなくちゃ。」と登山を前にして、ご飯も食べないで焼肉をもりもり食べるのはNG。
肉類中心の脂肪やタンパク質が多い食事はダメで、糖質中心のご飯や蕎麦などの穀類、魚や肉などのタンパク質源、野菜というバランス食が効果的なようです。
糖質は体内に入るとブドウ糖になり、筋肉と肝臓に取り込まれ、多くが筋グリコーゲンとして蓄えられます。
ご飯を抜いたような脂肪や高タンパク食では筋グリコーゲンは普通食の約1/3に低下してしまうそうです。ポテトサラダやカボチャなどの煮物を加えた高糖質食の場合の筋グリコーゲンは約2倍になるのだそうです。
筋グリコーゲンは筋肉を動かすエネルギー源で、この量が多いほど長く運動が継続できバテにくいとされます。
また、消耗した筋グリコーゲンは運動直後に糖質を補うことで2時間後には急激につくり出されるそうです。
したがって、連泊するような場合にも夕飯には筋グリコーゲンを十分摂ることが翌日の行動に影響を与えるようです。
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【山の行動食にはドライフルーツが効果的】
山行中の行動食も筋グリコーゲンを源とする甘い飴や羊羹、チョコレートなど糖質が多く含まれているものを摂取する必要があます。山行中は1日3食という概念は捨てて、お腹が減ってきたら適時補給することが必要のようです。
エネルギー不足が急激に疲労につながるいわゆる「シャリバテ」にもなりますので、簡単に補給できるものを用意し、こまめに補給することが必要となります。
昔の山行では、氷砂糖や羊羹、飴やレモンなどを行動食として使ってきましたが、近年はドライフルーツを用いることも多くなっています。
果物の甘味は果糖で羊羹やアメなどに含まれる砂糖に比べ3倍も早く吸収されるそうです。また、果物の酸味にあたるクエン酸とビタミンは疲労回復させる成分で、乳酸を取り除く効果が期待できます。
果物の中でもグレープフルーツ、オレンジ、ミカン、ネクタリン、リンゴなどは特に酸味が強く効果的ですが、重たかったりかさばったりするためにそのままでは山に持っていく気はしません。
しかし、近頃はドライフルーツになったものがスーパーなどでもたくさん並べられるようになってきたので、容易にミックスしたものを持っていくことができます。
また、干しブドウ、プルーン、アンズ、リンゴ、パナナ、イチヂクなどのドライフルーツと「ナッツ」や「柿の種」などを組み合わせたものを行動食とするのもいいようです。
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【登山者にお勧めのアミノ酸系サプリの摂り】
夏場の水分やミネラルの補給に「ポカリスエット」や「アクエリアス」などの各社から出されているいろいろなスポーツ飲料が一般化しています。また、ゼリー状のスポーツエネルギー補給剤なども近年多く用いられています。
加えて最近はコンビニやドラッグストアでもアミノ酸系サプリが目につく棚に並んでいます。
さて、アミノ酸系サプリとはどんなものなのでしょうか。
マラソンや自転車などの持久力系のスポーツも盛んになってきたせいでしょうか、スポーツ時の筋力や持久力をアップさせる働きや疲労回復の効果が期待できるということでアミノ酸系サプリが広まってきています。
アミノ酸は乳酸の発生を抑制させる働きがあり、また披露した筋線維を修復させる効果があります。久しぶりに山登りに出かける人や、下山した翌日の筋肉痛などを軽減させる効果効果が期待できるようです。
ただし、使うタイミングがあります。アミノ酸サブリは体内に入ってから2時間程度しか効果が持続できないので、登り始める30分前に飲むのが効果的だということです。
また、下山した直後に飲むことで翌日の筋肉痛を和らげることができるとうことです。
ゼリータイプや水に溶かして使うタイプ、タブレットなど形状も様々ですし、同じメーカーから同じ商品ブランドでも成分やバランスを変えて何種類もの商品が販売されています。
何がどう違うのかよく分からないで使ったりすることも多いようですが、タイプと使い方に違いがあるので表示をよく確かめて物と時を選んで使うとより効果的なようです。
例えば「味の素」のamino VITALのゼリータイプで言えば、運動前には「SUPER SPORTS」、運動中にはエネルギー補給も兼ねた「パーフェクトエネルギー」、運動後には「GOLD」という具合に使い方を想定して作られているようです。